幻影と花の性

「私の運命は運命を持たないことです」

                   ーリルケ


嗚呼リルケ
あなたと話してみたい…


いつも月下の中戯れる
まるで幻影
それが性なのだろうか…

いつも月下の中咲く
芳香を漂わせ始め
重なり合った花弁がゆっくりと開き始める
1年に1度しか咲かないと言われる花も翌朝には閉じている
それが性なのだろうか…

 

 

あなたの見る世界が見たい
すれ違う時が、歩幅が、鼓動が
あらゆる違いが愛おしい…
全ては軌跡に変わる


あなたの見る世界が見たい
深遠なる静寂と狂おしいほどの熱情の匂いがする


人には「性」があるという
人が生まれながらに持っているもの
「性」それは時に「運命」とも呼ばれる

理解できないものとは魅力と共に脅威
人は様々なものをカテゴリーに分け
コントロールしようと枠を定める

私は理解できないものは海底に眠っていた宝箱に映る

運命だと性だと受け入れ定めると楽
運命を持たない運命とはどのようなものだろう

 

自分を晒せない偽りが
よかれと晒し出すことが
決まって物事を掻き乱す

私は頭の中がおかしい
自分の頭の中の世界で生き
現実を見ようとしない私へ「現実」がお仕置きをする
理想の投影はお仕置きを受ける定め
私はそのお仕置きをも直ぐに忘却の彼方へと追いやり「現実」を歪める演出を自らに施す


忘却が私を強く同時に脆くする

追いやったものは何処へ行ったのだろうか…


幻想とは全ての喜びの始まり


皆様々な軌跡を経て「何か」を手にする

「受」の心得を手にする者には不思議な受難の巡り合わせの軌跡を経て思っていた以上のものを授かる

受難を受容する
それはまるで自らの「性」を受容するようだ

授かるとき、今までの軌跡が美しい悪夢であったことを知る

自然は無限の理法に満ちている
豊潤な果実のような愛が膨らんでゆく

 

「自由」とは
「性」とはなんだろうか…


「性」
それは存在するのだろうか…
それも幻想か…


人は、私は、生まれ持った「性」に抗うことができるのだろうか
どれほどその「性」を掌で操れるのだろう
紙一重のような世界
しかし全ては自らが選んだ道

 

昨日はベールが捲られ
今日はベールがかかり
明日はどうなるのだろうか

 

輪郭がぼやけてゆく
まるで、雨の日の月のよう


夢から醒めるのは嫌い
ゆえに月の芸術の中、影と戯れる